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大川小学校の悲劇を繰り返さないために、私たちが今できること

宮城県石巻市の大川小学校。今回の訪問は5度目になります。何度もこの地を訪れる中で、あの日の悲劇の重みを改めて感じます。

2011年(平成23年)3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生。地震発生から約51分後、地震に伴う津波が河口から4.8kmの距離にある小学校を襲った。大川小学校では、児童74名、教職員10名が犠牲※1となった。

※1大川小学校事故検証委員会 事実情報に関するとりまとめより
震災遺構として残されることが決まった校舎

犯人探しではなく、根本原因究明を

この事故で問われるべきは、誰が悪かったかではなく、なぜこのような悲劇が起こったのかという根本原因です。ミスを犯すのは人間であり、その背景には必ず原因があります。大川小学校での出来事は、一人の教師のミスではなく、システムや教育のあり方そのものに問題があったことを示唆しています。

そこで、本質(根本原因)に目を向けてみます。

学校の近くには生徒がキノコ狩りを楽しんだという裏山がある

近くの裏山へ逃げられなかった理由

現場を訪れるたびに、裏山がいかに近かったかに驚かされます。地震後、運動場に集まった児童たちは、わずか1分程度で裏山へ避難できたはずです。しかし、多くの犠牲者が出たのはなぜでしょうか。

検証委員会の報告書によると、その原因は、リスクの誤評価、マニュアルの不備、形骸化した訓練など、多岐にわたります。
特に問題だと私たちが考えるのは、間違った防災教育が根底にあったことです。状況に応じない画一的な教え方が、先生たちの判断を誤らせた可能性があります。

裏山から見た大川小学校

安心を教えるのではなく、安全を教える

従来の防災教育は、「安全」※2を絶対的なものとして捉え、具体的なリスクを教えることを怠っていました。しかし、自然災害は予測不能なものであり、「絶対安全」な場所など存在しません。
怪我するかも。死ぬかも。といった受け入れられないリスク※3がないことが「安全」です。大切なのは、様々なリスクを想定し、状況に応じて適切な判断ができる力を養うことです。

※2 安全とは、「受容できないリスクがないこと」

国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)

※3 リスクとは、(悪いことが発生する確率)×(その結果として生じる被害の大きさ)

安全文化 その本質と実践 倉田聡 著

では、どうすればいいのか?

大川小学校のある釜谷集落には108世帯があった

リスクアセスメントの重要性

そこで重要となるのが、「リスクアセスメント」※4です。これは、様々な危険要因を洗い出し、その可能性と影響度を評価することで、より効果的な対策を立てるための手法です。労働災害の分野ではすでに広く活用されており、自然災害の分野にも応用することで、より安全な社会を実現することができます。

※4 リスクアセスメントは、職場の潜在的な危険性又は有害性を見つけ出し、これを除去、低減するための手法

厚生労働省 中央労働災害防止協会パンフレットより

悲劇を繰り返さないという問いの答えは、事前の対策にあると考えます。災害が起こる前にどのような「被害」が想定されるか「知る」ことが最も重要です。そこにあるのは、ひとつの答えではありません。それは、被害に合わせた、その状況に応じたやりかたを、それぞれで見つける作業です。

私たちが目指す人づくり

知識、思考、判断
自然災害等の現状、原因及び減災等について理解を深め、現在及び将来に直面する災害に対して、的確な思考・判断に基づく適切な意志決定や行動選択ができる。

危険予測、主体的な行動
地震、台風の発生等に伴う危険を理解・予測し、自らの安全を確保するための行動ができるようにするとともに、日常的な備えができる。

社会貢献支援者の基盤
自他の生命を尊重し、安全で安心な社会づくりの重要性を認識して、学校、家庭及び地域社会の安全活動に進んで参加・協力し、貢献できる。

今も祈りを捧げる人が絶えない

共に考え、行動しましょう

災害に対してこれだという必殺技はありません。このような間違った防災教育を改めなければ、大川小学校の悲劇は繰り返されてしまう。これ以上悲しみを増やさないためには、生き残った後の対策だけではなく、生き残るための対策が求められます。

家庭で、職場で、子どもたちが通う学校で、いま行っている対策によって命が守れると言えますか。

私たちは、だれもが納得でき、実践できる減災教育ソリューションを全国で展開しています。そして、地域住民、先生、企業のみなさんと実践しています。

私たちの減災教育ソリューション

子どもが地震に強くなる!
子どもユレタキャラバン

避難訓練改善、アップデート
避難訓練2.0

防災マニュアル改善・アップデート

企業のBCM/BCP改善アドバイス

賛助会員への情報配信

リスクアセスメント※4に基づいた防災対策の評価制度
災害安全性評価制度

あなたの一歩が、未来を変える力になります。

NPO法人 減災教育普及協会
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