045-532-8937
「教育者向け」セミナー開催者募集!

子どもの『生きる力』を奪う「ダンゴムシのポーズ」(全国の保育者・教育者の皆さんへ)

「ダンゴムシのポーズ」。
どんな根拠を持って教えていますか?

もし今あなたの学校・幼稚園・保育園で「ダンゴムシのポーズ」を教えているのなら、どのような根拠を持って教えていますか?

「テレビでやっていた」「インターネットにたくさん出て来る」「本に書いてあった」「他の学校でもやっている」「有名な学校の先生が教えている」「子どもが覚えやすい」「誰でもできる」「みんながやっている」

そのどれにも安全に対しての根拠にはなりません。
でも、たとえ先生が根拠を持って教えていなくても、世間一般には『先生が教えているから間違いない』と考えています。先生が教えたこと、先生から習ったことは、根拠になってしまうのです。

多くの子どもの命がかかる指導になります。どうか正しい根拠を持って自らが納得し、責任のある指導をしてください。それが子どもたちはもちろん、先生自身を守ることにつながります。

地震時の「ダンゴムシのポーズ」文部科学省は否定 
子どもたちに被害が出たら誰の責任に?

全国の先生方、本当に子どものことを思うなら、『地震が来たらダンゴムシのポーズ』と教えるのは今すぐにやめてください。やめた後に何を教えれば良いか?迷ったら私たちが指導しますので、ぜひ相談してください。

良かれと思って教えているその教育が、子どもから『生きる力』を奪ってしまいますよ。

私たちは教育・保育の現場で、『地震ダンゴムシのポーズ』が流行っていることを危惧し、2017年に文部科学省の防災教育担当部署に直接伺って確認をしましたが、『地震のダンゴムシのポーズ』について否定しています。
※この件について、詳しい内容について知りたい方は、当協会のメールフォームからお問い合わせください。


左から「高知県教育委員会」「川崎市」「東京都教育委員会」資料より

なぜダンゴムシのポーズが悪いのか?

では、何が悪いのか

いろいろな角度から否定することができますが、まず第一に、地震被害の実態に合っておらず、地震時の危険回避行動として正しくない。ということが言えます。

これまでこの国で起こった地震被害の様々なデータから、国は、震度とその被害について説明する資料を作っています。(気象庁 | 気象庁震度階級関連解説表 (jma.go.jp)

その中で、とくに注目して欲しいのは。
建物被害の部分です。
棚が倒れてくる、テレビが飛んでくるなど、多くの人がイメージしやすい被害よりも何倍も怖いのは、建物自体の被害です。崩壊や倒壊を免れたとしても、建物のほんの一部が崩れるような被害であっても、移動物や転倒物の被害の数倍から数十倍、ときにはそれ以上の危険があると考えられます。

『地震が来たら、ダンゴムシのポーズ』と教えた子どもたちが、どこでダンゴムシのポーズをしているのか思い出してみてください。そこは本当に安全な場所なのでしょうか?

例えば、一番よく見かけるのは、『お部屋の真ん中に集まってダンゴムシのポーズになりなさい。』です。これは部屋の外周部分にある固定されていないピアノや棚、ロッカー、ロッカーの中の荷物、遊具、物置などの、いわゆる移動・転倒物のリスクを避けるため、何もものを置いていない。真ん中へ集まると言うものです。ここには大きなリスクの見落としがあります。それは、天井材を含めた建物の一部、落下物のリスクです。

国や自治体が出している地震被害想定には、日本の大半の都市部では、震度6弱以上の揺れを起こす自身が想定されています。震度6弱以上の揺れが起こった場合、耐震性が高い鉄筋コンクリート造(RC造)の建物でも、倒壊は低いものの、一部が崩れると想定されています。柱や壁で支えられていない大きな部屋の真ん中(中央付近)は、特にその建物被害が出やすいとされている場所なのです。

出典:「熊本地震の被害を踏まえた学校施設の整備について」緊急提言の取りまとめについて:文部科学省 (mext.go.jp)

もちろん、崩れやすいのは、中央付近だけではありません。建物の形状や、経年劣化によって崩れやすくなっている部分もあります。また、地震の揺れの種類によっても崩れ方は変わります。もちろん、どこから崩れるか100%わかるものではありませんが、ある程度は予測することができます。また、耐震化が進んでいる日本では、最終的に崩れるとしても、崩れるまでに時間がかかります。

ここで多くの人と勘違いしている耐震化について、少し付け加えますが、耐震化とは崩れないことを保証するものではなく。崩れにくい。言い換えれば、崩れるとしても時間がかかると考えるのが妥当です。ですから、耐震化しているから逃げなくて良いのではなく、建物が頑張っている間に、より安全なところに避難するつもりでいなければならないということです。また、崩れるのに時間がかかるのであれば、目で見ていれば避けれる危険もあると言うことも言えます。

出典:「熊本地震の被害を踏まえた学校施設の整備について」緊急提言の取りまとめについて:文部科学省 (mext.go.jp)

これも1つ加えておきますが、
「ダンゴムシのポーズを教える先生の中には、『大地震の中では動けないのだから、ダンゴムシのポーズでも良いのではないか?』と言う意見があります。しかし、大地震の中で動けないと誰が決めたのでしょうか?
気象庁の震度の解説資料の中では、震度6強から7であっても這えば動けると書いてあります。災害本番では、いろいろな状況が考えられるので、結果的には動けなかったと言うことがあると思います。しかし、動けるかもしれない可能性を、動けないと決めつけることで奪って良いわけがありません。頑張ってもだめな時がある。それは天災ですが、地震が来たらダンゴムシのポーズはその頑張る機会を奪うことになります。

リスクを見落としていないか

これまで、全国数千人のダンゴムシのポーズを教える先生と子どもたちを見てきました。その全てに、地震発生時に想定される被害の見落としや、過小評価・過大評価がありました。危機管理は、管理するべき危機が明確になっていなければいけません。つまり、危機になる一歩手前のリスクの把握がとても重要なのです。

ダンゴムシのポーズを推奨しているホームページなどには、『”安全な場所”でダンゴムシのポーズをする』と書いてあります。では、”安全な場所”とはどこにあるのでしょうか?

多くの場所で想定されている震度6弱以上の揺れを伴う地震の場合、建物内で””絶対に安全な場所”はありません。どこに危険が発生するのか、そして何から避難する必要があるのかを見極めなければなりません。そのような状況で、頭の上に手を置き丸くなるダンゴムシのポーズは、かえって視界を狭め、避難行動が出来なくなるだけです。

たとえ屋外であっても、地割れや、土砂崩れが起り得る地震ですから、やはりダンゴムシのポーズを使う事はありません。

”安心”は”安全”ではない

ある教育委員会の方から、『もう印刷物に載せてしまったので、どこかで使う場所はありませんか?』と言われたことがあります。『あるとしたら逃げられないと諦めた時に使う位ですね。』と答えました。では使う可能性は0ではないから良いではないかと言う人がいます。しかし、それでもダンゴムシのポーズは載せるべきではありません。

”自らの命を守る”ため、”安全”のためには、たとえ大地震であっても、顔を上げしっかり目を見開いて、危険に立ち向かうことが必要です。しかし、これはとても勇気が要ることです。それに対して、画一的で簡単で覚えやすいダンゴムシのポーズは、小さい子どもでもすぐに”安心”はできます。

安全は大変(難しい)。安心するのは簡単。この2つの選択肢を子どもに与えたら、どちらを選ぶかは容易に想像がつくと思います。でも当然のことながら”安心”はどこまで行っても”安全”にはならないのです。

My被害想定

私たちがアップデートを行いダンゴムシのポーズを止めた子どもたちでも、なぜダンゴムシのポーズではダメなのかを理解させなければ、またダンゴムシのポーズに戻ってしまいます。簡単に覚えられるという事は、忘れることも難しいのです。

大切なのは、”何をするか?”の前に、”何が起こるのか?”を考えることです。”災難を避ける”と書いて「避難」です。避けるべき災難を明らかにすること、そして、誰かの被害ではなく、自分の被害(My被害)を予測することが重要です。そして、小さい子どもでも、避けなければならないとわかれば、自ら行動を起こします。正しい行動(避難)は、被害によって決まるということを忘れないでください。

最後に

阪神・淡路大震災をはじめ、多くの災害で失った命、尊い犠牲から、生き残った私たちはたくさんのことを学びました。しかし、全国を回ってみると、このダンゴムシのポーズを始め、まだまだ学べていないことがたくさんあります。

私たちの力だけでは、次の災害には間に合わないかもしれません。たくさんの方たちに気づいていただき、正しく備えることが、犠牲者の命に報いる、生き残った、私たちの義務だと思います。

この声が届く方へ、たくさんの方達のご協力、ご支援よろしくお願いいたします。