開催日:2019年8月21日
時間:13時30分〜16時30分
場所:静岡県袋井市 袋井市総合センター
参加者:市内外 保育園・幼稚園 関係者 約130名
協賛企業:誠和企画株式会社、株式会社エイツー、日本減災対策株式会社
3年前から市の教育委員会主導で行ってきた市内の保育所・幼稚園の先生方の勉強会。今年は先生方のさらなる成長と減災教育普及を目指し、近隣の市町にも声をかけた結果、合わせて約130名の勉強会となりました。
今回の勉強会では、講義とワークショップを行いました。講義の中では、安全とリスクの定義、子どもたちを成長させない間違った防災教育、災害に対する先生の責任等の知識を学び。ワークショップの中では、袋井市では3年前に廃止した”ダンゴムシのポーズ教育”を例に挙げディベートを行いました。
ディベートでわかった、先生ならではの問題点
地震がきたらダンゴムシのポーズという教え方について、肯定派、否定派、ジャッジの3グループに分かれ議論しました。ディベート前に行った講義終了後のアンケートでは130名中129名がダンゴムシのポーズ教育について否定派だったのにもかかわらず、なんと6対4で肯定派が勝つという結果になりました。肯定派が勝った主な理由は、肯定派が出した「子どもたちに判断させ行動をとらせた結果被害が出てしまった場合、その責任をどうとるのか?」という意見に否定派がうまく反論できなったからでした。この責任追及の言い回しは保育・幼児教育に関わる先生方が一番嫌う言い回しかもしれません。多くの先生方はこういう言い方をされると、反論に困り萎縮します。その結果、何もしない、何もさせない、今まで通りで良い、という”事なかれ主義”のモードに入ってしまいます。普段から何かにつけ責任問題になる先生と呼ばれる方々の職業病のようなものかもしれません。
この結果を受けてダンゴムシのポーズ教育否定派の先生からは、「当然勝てると思っていて油断していた。もう一度減災教育で習った安全の根拠を復習し、保護者や新しく入った先生にも共有したい。」という感想をもらった。
常識を疑う
多くの常識は多数決で決まります。防災教育にもその多数決で決まった結果を根拠としているものが多く存在します。「常識を信じて被害が出た」、「ルールを守ったのに被害が出た」そんな災害の裏には間違った常識やそれをつくった間違った防災教育があるかもしれません。安全の根拠より、事なかれ主義が先立つのが学校防災の現状です。
日本各地で常識化しているダンゴムシのポーズ教育
現在この日本全国で「地震がきたらダンゴムシのポーズになりなさい。」という教育が流行っています。これは保育園・幼稚園に限ったことではなく、小中学校でも教えているという自治体も少なくありません。教育委員会の指導要綱に載っていたり、テレビや防災紙芝居等にもしばしば登場するこのダンゴムシのポーズですが、この教え方は安全な防災教育ではありません。
安全とは、許容できないリスクがないこと
安全の定義
つまり安全確保には、リスクの把握が必要不可欠です。ダンゴムシのポーズ教育を行っている先生も、そう習っている子どもたちも地震のリスクを把握できていません。地震のリスク把握ができているならこの教え方が適当ではないことに気づくからです。「リスクがないと思わせる。」「リスク認知を遅れさせる。」安全を教えず、安心だけを教える教育は、学習者を油断させリスクを増大させます。何が起こるかわからないのが自然災害の怖さですが、それなのに起こる前からやることが決まっている。これは大川小学校の悲劇につながる考える力を奪う恐ろしい防災教育です。