高知県での活動を、高知新聞さんが取り上げて下さいました。ここ高知県でも広がっている間違った防災教育、『地震が来たらダンゴムシのポーズ』の問題点についても取り上げていただいています。
なぜ「ダンゴムシのポーズ」が間違いなのか?
東日本大震災以降、津波の避難については『第二避難、第三避難』や『想定にとらわれるな』など、常に複数の案を用意するという考え方が定着しています。しかし、地震の避難訓練では、多くの保育・教育施設で、この『ダンゴムシのポーズをすることが正しい。』と教えています。
なぜ間違いなのか?この「ダンゴムシのポーズ」には第二避難も第三避難といった想定外の対応も存在しませんし、想定ありきだからです。実際に教えている先生方に『このポーズは何のために教えているんですか?』と聞くと、ほとんどの先生は、『頭を守るためです』と答えます。続けて、『では何から頭を守るのですか』と聞くと、周りを見渡し『固定していない棚や遊具からです』と答えます。一見正しいように聞こえるこの受け答えは一つのマジックです。これはダンゴムシのポーズと言う対策で勝てる相手(リスク)を探しているだけで、本当の災害を想定して対策を立てたわけではありません。
『では、地震の際にこの部屋で発現する可能性が高い危険を教えますから、その危険をダンゴムシのポーズで回避してみて下さい。』と本当の危険を教え、その危険性を体感してもらうと、『ダンゴムシのポーズでは回避できない』=『間違っている』ということが理解していただけます。
頭守って、命守れずの「ダンゴムシのポーズ」
危険回避の基本は、いち早く危険を見つけること、つまり、『見る』ことです。しかし、このダンゴムシのポーズでは、棚の転倒などより危険性の高い天井材(非構造部材)などを、見ないので、回避する可能性も限りなくゼロに近くなってしまいます。全国にはこの「ダンゴムシのポーズ」だけではなく、「かめさんのポーズ」や「ダッグ(アヒル)のポーズ」など、わかりやすさや覚えやすさを重視するあまり、一番重要な、安全(危険回避)の原理原則が抜け落ちた形だけ(ポーズ)の防災教育が浸透しています。「東北の震災以前は年に1、2回程度だった避難訓練を、今では毎月「ダンゴムシのポーズ」で訓練しています。」このように自信をもって言われる保育・教育施設さんのお話を聞くたびに、恐怖を感じます。
防災教育を見直す勇気
高知市では、保育園、幼稚園だけでなく、小学校、中学校に至るまでダンゴムシのポーズを教えているそうです。防災教育は誰にでもできるものです、特にルールも制限もありません。しかし、間違った防災教育による災害は人災になります。人に教える前に、その教育自体が本当に正しいものかどうかを精査する必要があることを忘れてはいけません。先生が言ってるから、テレビで言ってたから、本に書いてあったから、インターネットで見たから、他でもやってたから、昔からやっているから、これらは何の根拠にもなりません。間違った防災教育は災害の被害者をつくるだけでなく、加害者をつくることにもなります。ポーズ(やっている感)だけの防災教育や防災訓練を劇的に変えるアイデアを私たちは持っています。皆さんが災害の被害者にも加害者にもならないために私たちのアイデアを共有してください。