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ウェブセミナーで避難訓練をアップデート

広場や体育館がなくてもできる。それが避難訓練2.0です。

大切なのは、自分たちが許容できない危険を見極めること。そのための考え方を訓練することにこそ、もっとも意味があります。考えるという行動は、場所の制約がありません。

マニュアルに沿って同じ行動を取る避難訓練だけでは、想定と異なる危険が目の前にあっても、適切に回避できないこともあります。一瞬の判断の遅れが生死に関わる。それが災害の現場です。

災害はコロナ禍にあっても待ってはくれません。どのようにリスクを減らすのか、備えること、考えることを止めてはいけません。

そのために避難訓練2.0は、避難訓練をアップデートするためのウェブセミナーにも取り組んでいます。先日実施したセミナーの様子を紹介します。

幼児教育の専門家、聖心女子大の河邉貴子教授を中心とした自主研究会「保笑会」のメンバー約40人が参加。活動内容は、幼児が自発的に考え、遊ぶことを考えることで、その活動の一環として避難訓練2.0が選ばれました。

Web会議ツール「ZOOM」を使用してのセミナー中、パソコンの画面に「ダンゴムシ」の大群が現れました。

もちろん本物のダンゴムシではありません。

「地震により天井から落下物があります。どのように対処しますか?」という問いに、参加者が一斉にダンゴムシのように丸まっていたのです。

どういった状況での落下物かを見極めることなく背中を丸めてしまうのは、自らを危険にさらすことにつながりかねません。

そう説明すると、「なにが起こるかを無視して、子供たちにどうするかだけを教えてきていたと気づかされました」「ゾッとしました」などの声が参加者から上がりました。先進的な幼児教育に取り組む専門家であっても、避難訓練2.0は大きな気付きになったということです。

ダンゴムシのポーズで何が守れるのでしょうか

子供たちに主体的な思考をはぐくんでもらおうと考える先生たちだから、同じように主体性を持って減災に取り組む当協会とは共感できる部分が多々ありました。

「単に『遊び』を教えればいいじゃないかというと、それは違うと思うのです。教えられてやるのと、見て真似をしながら展開していくのとでは、まるで意味が異なります。小学校にあがり教科学習を受けるようになる前に、『自ら環境に関わって学びとる』という自発的な姿勢を身につけることが重要。ですから、かつては街の中、地域であったことを保育園や幼稚園の中で構成し直していくことが必要になってきているのです」

河邉教授による、子供たちの「遊び」についての言葉です。教えられ覚えることも大切ですが、「自ら環境に関わって学びとる」という自発的に考えていくことを、より重視しています。その点も、減災教育と通ずるところです。

河邉貴子教授の著書 遊びを中心とした保育―保育記録から読み解く「援助」と「展開」 

自分勝手に避難することを勧めているわけではありません。自らが考え、学びとった避難の指針となる考え方に基づき、避難行動を取ることになります。

文部科学省が推進する学校防災の方針は「『いきる力』を育む防災教育の展開」です。その中で「いきる力」を以下のように規定しています。

「基礎・基本を確実に身につけ、いかに社会が変化しようと自ら課題を見つけ、主体的に判断し行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、自らを律しつつ、他人とともに強調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康な体力」

文科省 『いきる力』を育む防災教育の展開

現実的には、膨大なカリキュラムが組まれている学校にあって、先生方だけで指針に沿った避難訓練を実施するのは困難です。教育の専門家である学校と、当協会が歩みを共にすることで、これからの時代に求められる防災教育をつくっていきましょう。

ずっと続けてきた方法が必ずしも正しいわけではありません。新しいやり方を選ぶことに不安や困惑もあるでしょうが、念頭において考えるべきは「守るべき命」の存在です。必要なのは、時代に合ったよりよい避難訓練です。

我々と一緒に避難訓練をアップデートしましょう!